北島亭

今回行きたかった場所のひとつはここ。
四ッ谷にあるフレンチ・レストラン。
よしながふみの「愛がなくても喰ってゆけます。」という本を読んで、行ってみようと思ってたので。
まず、何にひかれて行ってみようと思ったか?
「どのガイドブックにも最大限に腹を空かせてゆけ、と書かれている店である。」というくだり。
つねづね、ちまちまとこじゃれた料理は苦手。どうせ食べるなら、目も舌もお腹も充分満足できるごはんを食べたい、と思っている身には「最大限に腹を空かせてゆけ」なんて素晴らしい!
相方は同じく大食漢の妹。
舌が同じ、食べられる量もスピードも同じ、なのでこういう食事の相方としてはベスト。
予約した時間より少しだけ早めに着いて、(予約時にわりと時間に厳しいところだな、という印象だったので)食前酒にあたしはキール、妹はシェリーをオーダー。アミューズにオムレツにいくらの粒がのった小さなタルトレット。
メニューはメインのみ、前菜とメインのみ、前菜とスープとメイン、おまかせのコースと4種類のコースがありましたが、ムール貝のスープにひかれたので前菜とスープとメインのコースを注文。
メインと前菜はいくつかの中から選べます。
メニューを選ぶ時間って楽しい。
前菜はこれだから、メインは重めの肉料理にしよう、じゃあワインはこれがいいかな、とか食前酒飲みながら、ああでもないこうでもない、と迷うのは至福の時間のひとつです。
これから出てくる料理への期待感もあるから、余計にね。
あたしがオーダーしたのは、ずわいがにとアボカドのサラダと子羊のロースト。
妹がオーダーしたのは、うさぎのパテと銚子産 金目鯛の唐揚げ。
ずわいがにとアボカドはさいころに切ってクリームで和えたものをセルクルで抜いて、回りをゆでたリークでぐるっと巻いてあるもの。皿の上にバジルのグリーン、ラズベリーの赤、ほんのりカレー風味の黄色の3色のソースを流してあります。ふうん、前菜はわりと普通の量です。
うさぎのパテは上部にジュレ、肉の味がしっかりとする食べごたえのあるパテ。
皮もバターの香りがぷうんとするしっかり焼いたもので好み。
「あれ?そんなに構えるほど量は多くないのかも・・・?」と思っていたら、スープの次に出て来たメインは多かった。確かに。
子羊の骨つきももを網脂で包んでローストしたもの(これがかなり大きい)に、付け合わせはいんげん、赤と黄色のピーマン、ブロッコリー、肉厚のしいたけ、そして素揚げしたエシャロットとにんにく。エシャロットとにんにくはつぶしながら肉につけて食べる。羊の肉は網脂と肉の間にズッキーニやにんじんのみじん切りをはさんだ上で焼いてあるので、肉は外側がかりっとしていて、中はピンクでシューシー。
基本的に塩味だけ。でも子羊の肉に負けてない塩味。薄味の人には塩がきつめと感じるかもなあ。
美味しかったよ、これ。ラム好きな人は好きだと思うな。
金目鯛はかりっと揚げてあって、おいしい。外側はきつね色にかりかりに揚がっているんだけど、中は火が通ったか通らないかくらいでとめてあるので、とろっとした食感があるくらいふんわり。
うまいなあ。ここ、火の通し加減が絶妙だなあ。
付け合わせの野菜はたっぷりのきゃべつといんげん、さやえんどうのソテー。
ここでテーブルをきれいにして、出て来たものに2人して目を奪われました。
それはみかん、金柑、トリュフチョコが白いお皿に。
「み、みかん? な、なんで?」
いや、おいしかったんですけど。みかんも金柑もトリュフも。
でもなー、フレンチのコースの途中にみかんが出てくるなんて思わなかったんだもん。
デザートはクレーム・ブリュレ。これもコースのデザートにしては、かなり大きめ。
こってりしたクリームだけど、ヴァニラの香りがきいてておいしい。
表面のカラメルのぱりぱりを崩すのは確かに「小確幸」のひとつですね。アメリじゃなくても。
これでおしまい。
途中、出て来たシェフに「おいしいでしょ?」と聞かれ、うんうん!と頷いたら「まいうー!」とにっこりされました(笑)フレンドリーってば、そうなんだけど・・・(笑)
しっかりしたフレンチ食べたい人にはおすすめできると思います。
ただし。普通より塩味はかなりきちんとついてます。なのでテーブルに塩も胡椒もありません。
ここは好みのわかれるところかもしれないなあ。
あとね、量は女子には多い、のかもしれません。
全体通して食べれば、とってもバランスのいい量なんだけどな。
ちなみにあたしと妹はみかんの皮と子羊と金目鯛の骨以外は何もお皿の上に残しませんでしたが。
予算は上記のコースでひとり8000円前後。ワインをオーダーするなら、何を頼むかにもよるけど、ひとり5000円くらい足してください。

北島亭

東京都新宿区三栄町7 JHCビル1F
03-3355-6667
定休 日曜と第1・3月曜