毛糸探し


日々地味に編み物をしている今日この頃、先週ライブもあって東京へ行ったときもあっちこっちで毛糸を見て歩く。こんなに毛糸を買いこんだって全部は編めないのに、でも見ているとどうしても欲しくなってしまう。毛糸を編むこと自体もおもしろいけど、やっぱり毛糸そのものが好きなんだと思う。最近自分の好みは色より手触りなんだなあと買った毛糸を見比べていて思った。ベビーアルパカやカシミアのしっとりとしたやわらかさ、アランの毛糸のちょっとざっくりした重み、シェットランドのざらっとひっかかりのある感じと軽さ、シルクウールのなめらかなつや。
神楽坂の赤城神社の手作り市では草木染めの毛糸に一目惚れ。ひとつは茜なのでちょっとくすんだサーモンピンク、もうひとつのキャラメルベージュの毛糸は梨の皮で染めていると聞いてびっくり。それも染めているのは梨農家さんなんだとか。とってもシックなちょっと濃い目のベージュ。草木染めっておもしろいなあ。植物の皮や葉と媒染剤の組み合わせで思いがけないような色が出るんだなあ。草木染め、やってみたい。
あとは東京駅のKITTEにある毛糸屋さんMOORITでハンドダイの毛糸を買おうかどうしようか、お店の人に不審に思われるくらい相当迷ってやめたり(毛糸そのものはすごーく気に入ったけど、どうしても編みたいものが思い浮かばなかった)馬喰町のkeitoにJamiesonsの毛糸を買い足しに行ったり。MOORITは扱っている編み物の雑貨もかわいかった。ベトナムのメーカーの靴下用の小さい編み針がエスニックなジョーゼットの袋に入ってたり、あと編んでる途中で目数の目印につける小さなリングがあるんだけど、シルバーのリングにきらきらビーズがついてたり。日本の手芸メーカーのものは「よりによって、なんでこんな(微妙にまぬけな謎な)色でわざわざ作る?!」というプラスチックのものが多いので、海外メーカーのものは見てるだけで楽しい。
写真は最近友人のリクエストで編んだ、左右の編みこみの色を反転させたハンドウォーマー。

こんな糸で編んでみたい (読む手仕事BOOKS)

こんな糸で編んでみたい (読む手仕事BOOKS)

みたに


ここ5-6年くらい、年に1回くらいのペースで松本に行きます。目的は好きなお店にごはんを食べに行くこと。とくに観光もしないし(どこへ行ってもそうだけど)ごはんを食べて、街中をのんびり散歩して、お茶して・・・だけの旅行。1泊2日なら松本でのんびり、2泊3日あれば(夏なら)上高地安曇野まで足をのばしたりもできるし、個人的には京都と並んでお気に入りの街。
中心地は端から端まで歩いてしまえるくらいのこじんまりした街だけど、おいしくてリーズナブルなレストランにカフェ、民芸食器や雑貨などすてきなお店が多くて何度行ってもあきない。ごはんもおいしいお店がほんとに多いので松本に行くと「あれも食べなきゃ、これも食べたいし」となんかもう食べてばっか。
その中でも、松本に行くのはこのお店があるから、というくらいお邪魔している「みたに」。地元の素材を使ったシンプルで丁寧な料理の数々。パスタやピザがメニューにあるのでイタリア料理だと言うこともできるけれど、イタリアというより他のどこにもない「みたにの料理」という気がする。オリーブオイルやトマトやハーブやにんにくの香りあふれるイタリア料理を想像するとぜんぜん違うんだけど、シンプルで静かにめりはりのある皿、食べ進むほどに奥行きのある味。
写真はランチのパスタ。少しずついろんな前菜を盛り合わせたスターター、卵とパルミジャーノの味が力強いカルボナーラ、そして何回食べてもうれしくなる熱々のアップルパイとアイスクリーム。料理とともに出てくるパンもデザートのあとに出てくるコーヒーと小さなお菓子(毎回違いますが、今回は一口大のロールケーキとガトーショコラ。もちろんおいしい。)までどこまでも神経の行き届いた美味しさ。
でも何よりすばらしいのは、味はもちろんのことサーヴィスのすばらしさ。控えめでありながら物足りないところが何ひとつない。すべてに行き届いているのにそのサーヴィスの印象はやわらかく、あたたかい。料理が美味しくて通うようになってもサーヴィスが理由で足が遠のくお店だって多いけど、この「みたに」は料理の美味しさはもちろん、サーヴィスの素晴らしさにいつも「また来よう」と思うお店。

バナナブレッド

最近野田琺瑯のキャビネサイズのバットを買って、大きさがちょうどいいのでよくケーキを焼いている。オーブンについている天板より深さがあって4角に丸みがあるから洗いやすいし、実際バットとしてよりもお菓子や料理に使ってることのほうが多い。野菜なんかを適当に切ってオリーブオイルかけてオーブン焼きにしたり。
野田琺瑯の白い容器シリーズは使ってみると便利で少しずつ増えてきた。焼き型に使えるのはもちろん、単に保存容器ならジップロックのプラスティック容器でもいいんだけど(これも便利で愛用してるけど)冷蔵保存するときにいいなと思うのが、琺瑯だと容器そのものが冷たくなるので中身も自然に温度を低く保てるし*1、それを今度はあっためようと思うときはそのままガス火にかけられる。あと白の琺瑯なのでたとえば調味料を合わせたりするとき色もよくわかる。ステンレスのボウルだと濃い薄いの微妙な違いがぱっと見てわかりにくいときもあるから。あともう1ついいのは中に入れたものの匂いがつかないこと。
写真はそのバットで焼いたバナナブレッド。レシピはなかしましほさんの本「みんなのおやつ ちいさなレシピを33」から。本のレシピにシナモンとくるみを足しました。野田琺瑯のバットで焼くときは本のレシピを2倍してちょうどくらい。このバナナブレッドのレシピはバターでなくオイルを使うので、冷めても固くならないしバナナもたっぷり入るので翌日以降もしっとりの最近のお気に入りレシピ。この本はレシピがシンプルで簡単でお菓子を作りなれない人でも作りやすい量と手順だと思う。

みんなのおやつ ちいさなレシピを33 (Hobonichi books)

みんなのおやつ ちいさなレシピを33 (Hobonichi books)

*1:洗った小松菜などを適当な長さに切って琺瑯容器に入れて冷蔵保存すると結構長く保存できます。これは野田琺瑯の方が雑誌でおっしゃってました。

まっちんのおやつ会

先日の日記「岐阜散歩」のところでもちょっと書いた、今週で閉店してしまうCafe COCONですが、そこで急遽昨日行われたイベント「まっちんのおやつ会」に行ってきました。このイベントは和菓子職人の「まっちん」こと町野仁英さんが目の前でいくつかのおやつを実際に作るのを見ることができて、それを全部食べることができる、という贅沢な2時間。町野さんは伊賀上野でもお店をしてらっしゃるそうですが、今は柳ヶ瀬の和菓子屋さん「ツバメヤ」のお菓子をプロデュースなさったり、岐阜のパン屋さんと一緒におやつを作ったり、最近では町野さんの作ったお菓子を食べられる場所も岐阜にできたりというのもあり岐阜でも活躍中。
昨日は先着10人のイベントだったんだけど、なんとか最後のほうにすべりこんで参加。この日作っていただいたのは4つ。半月餅(焼き大福)に同じ岐阜の紅茶専門店annon tea houseのいちごの紅茶風味のソースを添えたの、豆腐白玉ぜんざい、くるみの和スコーンといちご紅茶風味の練乳シロップ、それから最後にわらびまんじゅう。7時からの会だったので会社終わってからまっすぐ岐阜に向かって、夕ごはんを食べる時間がなかったけど、ぱくぱく食べてたらお腹いっぱい。どれも粉そのもののおいしさ、小豆の豆の風味・おいしさをストレートに感じられる素直な味でほんとにおいしかった。いちごのほんのりした風味が餡やシロップにもしのばせてあって、素朴ながらも軽やか。わらびまんじゅうは弾力があるのにふわふわで、でも口の中に入れるとふわりと溶ける。「・・・おいしーい・・・」ひとくち食べてしばし無言でわらびまんじゅうをじっと見ちゃった。わらび粉に小豆あんにきな粉というシンプルな材料なのに甘さ、香り、テクスチュアがそれぞれにぎやかなの、口の中で。おいしかったなー。
町野さんはいろいろおしゃべりしながら「緊張するなあー」と言いつつも「どれも簡単なんですよー」とほんとに簡単そうにさささと作ってて、なんか生地や餡にさっと触るだけでお菓子に形を変えるみたいに見えてきて、プロセスを見てるだけでほんとにおもしろかったー。実際あんなに短時間で(作る+食べる含めて2時間)4つもとびきりおいしいおやつを作っちゃうんだから、どんなに簡単そうに見えてもそりゃ同じにはできないのはわかる。でも見てるとあんまりあっという間にできちゃうから「作ってみようかな・・・」と思うんだけどね。
写真はちょっと暗くて見えづらいけど、わらびまんじゅう。
ごちそうさまでした。
この本↓を買ったときはまさかご本人に直接目の前で作ってもらって食べる機会がくるとは思わなかったなー。ちなみに和スコーンや大福のレシピもこちらにのってます。今日帰ったら和スコーン作ってみようかな。

まっちんのおやつ

まっちんのおやつ

常懐荘アートマルシェfinal


先週の日曜日、友人のお誘いで「常懐荘アートマルシェ」というイベントに行ってきました。常懐荘というのは愛知県小牧市の久保山に昭和8年に建てられた、愛知高等女子工芸学校(現在の愛知産業大学)を設立した竹内禅扣氏が晩年を過ごした和洋折衷の家の名前。そこで複数のクラフトアーティストが家のあちこちに作品を展示する、というイベント。finalとタイトルにあるとおり、あたしが行ったのは今回が初めてなんだけど、今回を最後にこのイベントは終了とのこと。古い家の座敷や鴨居、庭の木々の枝、書庫の引き出しや洗面台の脇・・・など家の中のあちこちに作品がそこの家の調度品みたいに展示してあって、小さな家なんだけど見て回るのが楽しかった。
大学1年生のとき初めてひとり暮らしをした家がこの常懐荘とほぼ同じ頃に建てられた荻窪の和洋折衷の古い家だったので、この常懐荘と雰囲気や空気がとても似ていてなんだか初めての場所なのに懐かしい気持ちがした。あたしは応接間を直した部屋を間借りしたんだけど、家のほかの場所は昔ながらの日本家屋なのに応接間だけは高い格天井に大きな出窓、板張りの床に大きな暖炉のある洋室で。今はその荻窪の家も取り壊されて新しい建て売りの家がいくつか並んでいて、かつての面影はどこにもない。この常懐荘ももしかしたらなくなってしまうのかもしれない。家のあちこちがかなり古びていたし修繕するにも新しい家を建てるのと同じくらい大変だと思う。でも古い家はいちど壊してしまったら二度と同じものを建てる事は出来ないのだから、何とかして残してほしいけど・・・。

展示以外にもテルミンの演奏があったり、写真の撮り方や中国茶の入れ方のワークショップがあったり。あたしは中国茶のワークショップに参加。単にお茶の入れ方だけじゃなく、茶器の持ち方や取り扱いも教えてもらうんだけど「茶器を取るときも置くときも円を描くように優雅に動かします」という先生の言葉にかえって緊張。優雅とは程遠いぎくしゃくとした動きに。むずかしい。ほんの1時間くらいのワークショップだったけど、先生のお手本を見ながら中国茶をいれてみて、花のような緑茶の香りや浅く焙じた日本のほうじ茶とは違う台湾のお茶の香ばしい香りなどいろいろ味わえて楽しかった。もっといろんな中国のお茶を飲んでみたいなあ。

岐阜散歩


久しぶりの友人とごはんを食べようということになって、それならお天気もいいしと散歩がてら岐阜へ。名古屋に住んでいるんだけど、電車で20分くらいで行ける岐阜の街は魅力的なお店が多いのでちょくちょく遊びに行ってます。街もJRの岐阜駅から北に向かって歩くと大きな商店街の柳ヶ瀬(今は閉めているお店も多いけど)そこからさらに北に歩くと長良川。のんびり歩いても大体片道1時間くらい。半日お散歩するにはちょうどいいサイズ。
柳ヶ瀬は昔ながらのアーケードのある商店街で、きっと昔はすごくにぎわったと思うけど今は閉めているお店も多い。なのでお昼間歩くとちょっとしんとほの暗いエリアもあったりする。けど、最近その中にぽつぽつと若いオーナーのいろんなお店が少しずつ増えてきて行くたびに表情の変わる楽しいエリア。この日もお昼を高島屋近くの「みつばち食堂」で食べてから「やながせ倉庫」(古着屋、雑貨屋、古本屋、カフェなど小さなお店がランダムに入っているビル)の古本スペースをのぞき、古着屋の「オルガン洋品店」で中国手編みレースのカーディガンを衝動買い、「A.L.C.cafe」で「黒糖ショートブレッド」と「黒糖とみりんのケイク」と「桃のパート・ド・フリュイ」をおやつに買う。ここのお菓子はとても丁寧に作られていておいしくて、やながせ倉庫に来ると必ず買います。この日買った「黒糖とみりんのケイク」もおいしかったー。これは毎年岐阜で行われている「みりんスイーツ」(今年は終わっちゃったんだけど)ってフェアがあって、岐阜市内のお菓子屋さんが岐阜の「九重味醂」の「九重櫻」というみりんを使ってオリジナルのお菓子を作る、というもの。もちろんどれも買って食べられるし、イベント中はみりんの試飲があったりみりんスイーツ巡りツアーなんかもあったり。この「黒糖とみりんのケイク」はそのとき出品されたお菓子でみりん漬けレーズンの入った黒糖のパウンド。洋酒と違ってお酒っぽさはあんまり感じないけど、みりんのほんのりした甘みが口の中でほわっと広がる。これ、とっても好きだなー。
そのあと商店街の中の「ツバメヤ」でどら焼きを買うか迷って、結局美殿町の「福丸」でたい焼きを買い食い。ここのは1匹ずつの型で焼いていて普通よく見るたい焼きよりすっとした形。ちょっと薄めなのでしっぽとか皮がぱりぱりで香ばしい。
あちこち歩いてお茶は金神社近くのカフェ「Cafe COCON」へ。ここは陶芸家でもある安福由美子さんがひとりで営むカフェ。大きな交差点に面しているのにお店の中は静かで、でもその静けさがのんびりと心地よい。日替わりのケーキもおいしくて(この日食べたのは栗のタルト)岐阜に来るとここにかならず寄りたくなる。元々は彼女の器*1に一目ぼれして「本田」*2で購入したのがこのカフェを知るきっかけでもあったんだけど、来ると「こんなすてきなカフェが名古屋にもあればなー・・・」と毎回思う。ただ残念だけど、作陶に専念されるので今月いっぱいで閉店されるそうです。

*1:2013/8/19の日記で寒天と黒豆ときな粉のおやつを盛っていた器

*2:岐阜醸造会館にある雑貨屋さん

編みものまわり

今までもちょこちょこ編んでいたけど、やっぱり空気が冷たくなってくると「さあ今年は何を編もうかなあ」という気になる。本屋さんにも今年の編みものの本が並ぶようになってきたし、毛糸コーナーの種類も一気に増えるし。
編みものの本もここ何年かでかなり傾向が変わったなーって思う。何年か前までは「手芸好きな人の冬の趣味のひとつ」という感じで、本屋さんに売ってた編み物の本も「うーん・・・これを頑張って作っても、これじゃ持ってるお洋服に明らかに合わない・・・」という「趣味の手芸作品」として独立してるような、どっちかっていうとファンシーな感じのものか、でなければボーイフレンドに編むセーター(こっちもかなり「これをもらっても・・・」という感じのものも多かったな)の初心者向けの本、って感じだったと思う。けど最近「自分で編んで、そして自分のお洋服や靴にも合うもの」という、本の中の作品はもちろん、編みものの本自体もかわいいスタイリングで見せる本が多くなって、自己満足だけじゃなく「実用的でなおかわいいものを自分の手で作る」って感じになってきたのはとてもうれしい。*1実際三國万里子さんの本を見ながら「これなら編んで(身につけて)みたい」ってはじめて思った人も多かったんじゃないだろうか。売ってるものよりかわいくて、どこにも売ってなくて、色や毛糸も自分の好みのものが出来上がるわけだから。ほぼ日の三國万里子さんのキットがあれだけ売り切れちゃうことを思うと、あのハンドウォーマーなんかの小物を編んでみて編みものにはまったって人はきっと多いんだろうなと思う。(あたしもストールのキットを注文しましたが)あと毛糸で作るアクセサリーとかいろいろ自由になってきたんだなーって思う。
あとあたしは「編む」という行為そのものにはまった、っていうのがあります。細かい編みこみの模様を編みはずさないように無心に編み図を追っていく、編み進めるごとに模様が形になって自分の目の前に立ち現れてくる。他のことが入り込む余地のない集中した濃密な時間、が楽しい。単純な模様でも「編んで形になる」ということに没頭できるし。
今は「手芸・編みもの」の枠を超えて、ラトヴィアの手袋の本とかフェアアイル模様集とかシェットランドやスコットランドの伝統柄など世界の編み物がいろんな雑誌や本でも紹介されるようになってきたし*2編みものの世界そのものが少しずつ広がってきたような気がする。何年か前ならシェットランド毛糸専門のお店*3なんて出来るとも思わなかったものなー。

編みものともだち

編みものともだち

*1:岡尾美代子さんスタイリングの三國万里子さんの本が出てから、だろうなあ。

*2:おもに誠文堂新光社の本

*3:馬喰町のkeitoとか。