言の葉の庭

朝の情報番組でほんの少し紹介されただけなのに、そのリアルな画面に思い切り引き込まれ見に行った映画「言の葉の庭
雨の公園(新宿御苑がモデル)で、平日の雨の日の午前中だけ出会うことになる、靴職人を目指す高校生男子と人生に疲れて立ち止まっている27歳の女性*1が心を通わせてゆく様子が丁寧に描かれる。新海誠さんの作品を映画館で見るのは今回が初めてなんだけど、空調のきいた映画館の中にいるのに雨の匂いや樹々を揺らす微かな湿った風をふっと鼻先に感じるような気がするほど鮮やかでリアルな風景に最初のシーンから目を奪われる。
次々と切り取られてゆく様々な風景が、主人公たちの視点で見ている風景と高い空の上とか中空から誰かが見てるような視点と交互に切り替わるのがおもしろかったなあ。時々「こんな風景を実際に人間の眼で見ることはできないな」というところからの視点があって、たとえば新宿御苑の数百メートル真上からとか新宿の高層ビルのてっぺんからとか。高層ビルの最上階から見た窓の向こうの街じゃなくって、たとえば高層ビルのてっぺんに(外です)とまっているカラスの目に映る風景はこの風景だろう、というような奥行きのある風景。そうすると一気に画面の中に気持ちが引き込まれるような気がした。
ストーリーはハッピーエンディングなんだけど、エンディングの曲「Rain」*2がかかる頃までにせつないシーンが多すぎで泣くのを我慢できず。大江千里バージョンの「Rain」は知ってたけど、秦基博さんの「Rain」ぜんぜん違うんだけど、やさしい声が映画の中の雨の風景にとても似合ってた。しかし映画館でラストシーン間際で泣いちゃうのって後がはずかしいんだよなー。終わって明るくなったときにやたら不審にあたふたしちゃうから(笑)
本当にいい映画でした。見てよかった。

言ノ葉

言ノ葉

*1:この女性は実際はこの高校生の通う高校の古典教師

*2:オリジナル曲は大江千里。今回のエンディングでカバーしているのは秦基博さん