きょうも料理

本の帯に書いてある「「今夜のおかず」の悩める百年」「お料理番組と主婦 葛藤の歴史」というコピーを見て読みたいなと思っていたので、版元の原書房に注文。
元々修士論文に加筆・修正したものなので、引用が多いんだけど、そこがおもしろい。
主婦という既婚の女性(ひいては女性全般)にかけられた「料理=愛情をはかるバロメーター」という「呪い」(「価値観」「刷り込み」と言ってもいいけれど)のなんと強力なことか(笑)
だってね、あたしたちを取り巻く環境も状況も、価値観だって100年前とかなり変わっているはずなのに、お母さんが手作りで料理をするってことに価値があって、そしてそれは暗黙のうちに愛情にあふれていれば上手であることが求められる上に、無報酬っていうのはこの100年変わっていないんだもの。
コンビニでお弁当も買えるし、デパ地下やスーパーで何でも買えて、もちろん外食だってできるし、デリバリーだって出前だってあるし、でも、それでもやっぱり「手作り料理=愛情」なんだねー。
いろんな料理研究家や料理人の引用文の、あんまりといえばあんまりな「良妻賢母は手作り」推奨発言が出てくるたびに「いつの時代の引用?これ?!」と思って見ると、明治時代も平成15年もまったく同じこと言ってるんだもの。びっくりだ。
「料理は愛情」って言っても、愛情があればみんな料理上手なのかっていったらそうじゃないわけだし、モチベーションは愛情かもしれないけど、料理のほとんどは技術だと思う。あとは食い意地。個人的には。
料理が好きな人・得意な人もいれば、そうじゃない人もいるし、それは男のひとも女のひとも同じなのにね。
とにかくおもしろかったです。一気に読みました。

きょうも料理―お料理番組と主婦 葛藤の歴史

きょうも料理―お料理番組と主婦 葛藤の歴史