百万円と苦虫女

百万円を貯めてはバイトを辞め、新しい街に引っ越す女のコ、鈴子が主人公。
自分のことを誰も知らない海で、山で、街で、新しい仕事と新しい生活。
そして自分と自分の心を守るために誰とも何とも深くは関わらないように生活しながら、百万円貯まったらその場所からするりと抜け出すように次の街へ向かう。
「自分を探したくはないです。いやでも、ここにいるし。」という彼女はもちろん自分を探している訳じゃない。
でも、深くても浅くても、望むと望まざるとに関わらず人とは関わってしまう。
関わってしまうと、当然鏡のように自分のことも嫌でも見る羽目になるし、いつかはその自分や相手とも別れることになる訳です。出会わなければ別れはないわけだから。
出逢いと別れの中で彼女は自分なりの人との関わり方を見つけるというストーリー。
ラストシーンは彼女の幸せを遠く予感させる終わり方だけど、絵に描いたようなハッピーエンドじゃない。
そこが見終わって、この終わり方にしたのは十分過ぎるくらいわかるけど、切なかったなあ。
主人公の鈴子は蒼井優ちゃん。ふんわりした女のコってイメージがあったけど、視線が強いので、疲れ切った表情や投げやりな言葉、関わりたくない事は笑ってやり過ごしたり、無礼な同級生に思い切り怒鳴りかえす声はかよわい女のコじゃなく、リアルに生きてる女のコで、ストーリーはファンタジックだけど彼女はリアルだったなあ。
この映画の主人公は彼女であて書きされたそうですが、それがよくわかる。
鈴子が恋に落ちる相手は森山未来くんが演じています。
不器用でもどかしくて「それじゃ彼女が好きという気持ちは全然伝わらないでしょうー?!」というなんかもうとってもダメダメな感じ(笑)が、とてもよかったです(ほめ言葉だ)