檀流クッキング

持ってるはずだと思ってたけど、家のどこを探してもないので新しく買いました。
何回読んでもおもしろい。
紹介してある料理は結構バラエティにとんでますが、基本は「にんにくと玉ねぎを炒める」ところから始まる料理が多い。
中華、朝鮮料理そしてロシア料理が多いからかな。
そして今回読みなおしていておかしかったのが、「きばって」という単語が実に何回も出てくるとこ。
たとえばね、「ソーメン」という章で薬味をたくさん用意する、というくだりがあるんだけど、
「薬味のサラシネギは誰でもつくる。ゴマを煎って、叩きゴマか、半ずりのゴマにしておくならば、薬味は二品ということになるだろう。
いや、シイタケを二つばかりきばって、よくもどし、そのモドシ汁ごと、ソーメンのツユの中に入れて煮ておいて、やがてそのシイタケをせんに切るならば、ソーメンの薬味は、遂に三品ということになる。
もう一品、鶏の挽肉を100グラムきばって、ソーメンのツユを煮上げたついでに、そのツユを少しく手鍋に取り、挽肉を入れ、いりつけるようにして一煮立てして、すくい取るならば、薬味は遂に四品となる。」
「きばって」というと言葉としては力が入った、感じがするんですが、彼の文章のなかでは「ほんの少しだけ、ぜいたくをして」とか「ほんの少し手間をかけて」という、ほんの少し、というニュアンスがあるところがいいなあ。
この本の中に書いてあるレシピは基本的に「お惣菜」という毎日食べるものの作り方で、(それは最初に掲載されたのが新聞のコラムで、読者の奥さま向けに書かれたものだからみたいだけど)そこに「ほんの少し」工夫をしたり、「ほんの少し」材料をできる範囲でいいものを選ぶと、とってもおいしくなるんだから、という著者の気持ちが伝わってくるような気がするからかも。

檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)

檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)