グッモーエビアン!

なんの前知識もなく見に行ったら、オープニングに松重閘門*1が映ってて「あれ?これって名古屋が舞台なんだ?」とそこではじめて気づく。映画の中の風景に、ふだん自分が自転車で通り過ぎたり、歩いて買い物したりする場所が映っていて、そこに映画の中の人たちが生活してたりするのってなんだかとても不思議な気分。鶴舞公園の桜とか、大須の商店街とか。
17歳で娘のハツキを産んだシングルマザーのアキとアキのかつてのバンド仲間でずっとアキのことを好きなプーのヤグ。本当の家族ではない3人が「家族」になっていく話。ストーリーは基本娘であるハツキの視点で動いていくし、彼女の成長物語が主軸だと思うんだけど、一般常識の中に生きてはいない破天荒な母親の下に生まれる娘が大概そうであるように、娘は反動で必要以上に常識的で「普通」をどうしても目指すことになりがちなので、母親と自分と世間の折り合いをつけるのにほんとに大変になっちゃう。*2この中学3年生のハツキちゃんも例外じゃなくて。中学3年生って「他の誰とも一緒じゃなくても、自分はこれでいいんだ、これで行くんだ」って腹をくくるにはちょっぴり不安な年齢かなと思うし、でも「みんなと何もかも一緒がいい」とは絶対心から思っていない年齢じゃないかなーと思う。そのへんの自分でももてあますような気持ちの揺れ動く様子が、このハツキを演じた三吉彩花という女優さんがほんとに上手く演じていた。不機嫌なふくれっつらにちょっぴり不安や素直になれない自己嫌悪が淡くにじむようで。
いい映画だったよ。

*1:名古屋市中川区にある、庄内川と堀川、中川運河を行き来する船のために水位調節をするゲート。今は使用されていない。

*2:この設定Absolutely Fabulousを思い出しちゃった。