Les Femmes Du 6eme Etage

タイトルの「6階の女たち」っていうのは、主人公のブルジョワ夫婦の住むパリのアパルトマンが5階で、その上の6階(ここが最上階だから「屋根裏部屋のマリアたち」って邦題なんだと思う。)に住んでいるスペインから出稼ぎに来たスペイン人のメイドさんたち。その建物の6階は近所のおうちで働くスペイン人のメイドさんたちだけで住むフロアになっているわけです。時は1960年代。この年齢はさまざまな6人のメイドさんたちの中のひとり、マリアと恋に落ちるのが雇い主のブルジョワ夫婦の夫である証券会社を経営するジャン・ルイ
みんなそれぞれの事情があって遠くパリまで出稼ぎに来ているわけだけど、どの人もあかるい。ラテンの国の人って基本的資質として天性の明るさを自分の中に持っていて、それは周りの環境がどうあろうとぶれないというか「生きるための希望」が標準装備されてるというか、そんな気がします。つらいことや悲しいことはもちろんいっぱいあるに決まってるけど、でも「人生を楽しむユーモア」のようなものは失わないんだな、とラテンの国の映画を見てると思うことがよくあります。
もちろんこの映画の中の彼女たちもそうです。あかるくて、たくましい。おまけにチャーミングだし。
だから主人公のジャン・ルイもマリアと恋に落ちるわけだけど、でもマリアや他のスペイン人のメイドさんたちが体現する(ジャン・ルイにとっての)未知の世界や明るさやたくましさに恋に落ちたんだろうなあ、と思った。ブルジョワ階級の決まりきった日常を決まりきったルールにのっとって生きていく自分とまったく逆の世界で生きる彼女たちに魅かれたんだろうな、と。ジャン・ルイの奥さんも退屈そのもののブルジョワ女みたいな描かれかたを最初されてるけど、結局スペイン人の彼女たちを見ているうちに「退屈な人生を退屈に生きてる自分」を冷静に見つめてしまうというくだりが、人生に疲れてるんだけど希望も少しだけ生まれている、というような微妙なニュアンスの台詞まわしで、この女優さんとってもいいなあ、好きだなあと思った。*1
マリアのメイド服がとにかくかわいかったー。なんでもない黒のAラインのワンピースに小さめのコットンレースのエプロン。パーティの時には頭にホワイトブリム*2をつけてたり。

*1:サンドリーヌ・キベルランという女優さんです。

*2:レースのひらひらがついたヘッドドレス。メイドさんがつけてるレースつきのカチューシャみたいなやつ