夜は短し歩けよ乙女

本屋でふらふらと文庫の新刊を見ていて、何となく買って読んだ本。けど途中で読み終わるのが惜しくなるほどおもしろかったー。読みながら思わず「あはははは!」と漫画のように笑ってしまったり、小説の登場人物に内心突っ込んだりしたの、*1はじめてかも。
舞台は京都の街中と京大の中。メインの登場人物は、理屈っぽいけど純情なことこの上ない「先輩」とその後輩である天然きわまりない、つまりピュアな「黒髪の乙女」。「先輩」はもちろん「黒髪の乙女」に激しく片思い中。「黒髪の乙女」はもちろん、そんなことかけらも気付いちゃいない。そんなふたりを中心になんだかものすごーく濃い脇役がどっさり出てきて、奇想天外+あやしい事件が次々。
実在の場所が舞台だっていうのもあるけれど、頭の中に浮かぶ景色がつねに天然色だったなー。読んでると、夏の屋外の古本市の濃い緑や雪の降るグレイッシュな出町柳も、夜深い四条河原町の闇の色も見えるような感じがするほどだった。なのでとってもカラフルなイメージが読後も残ってました。
文庫の解説は羽海野チカさんが書いてます。もちろん羽海野さんなので文章ではなく、各キャラクターといくつかの場面が彼女のイラストで描かれ、彼女の気に入った台詞が書いてある。これがねー、先に解説見ちゃったので、読んでる間あたしの頭の中ではこの羽海野さんの描いたキャラクターで話が進んでました。*2
ラストシーンは進々堂*3あーここのサンドイッチ食べたくなっちゃたなー。
最初本屋で手に取ったとき「森見登美彦・・・聞いたことある名前・・・どこでだろう・・・?」と思いながら買ったんだけど(それまでまったく読んだことなかったので)家に帰ってから、去年買った本「センネン画報」の帯に「森見登美彦氏、絶賛!」と書いてあったのを思い出しました。うーん、いつも思うことだけど、好きになるものってどっかでつながってるんだなー。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

*1:もちろん「先輩」の台詞と行動にです。

*2:ひたすら一途な「先輩」もいいですが、あたしは樋口くんが好きです。

*3:京大そばの古い喫茶店