ANGEL

昨日になって「名古屋ミニシアター回数券」*1の未使用のものが1枚ダイアリーのポケットに入っているのを発見。すっかり忘れてた。有効期限は・・・12/31?!
無駄にするのももったいないので、年末ぎりぎりだというのに映画館へ。
この映画、どっちにしても見るつもりだったからいいんだけど。
舞台はイギリスで出てる俳優も(ほぼ)イギリス人だけど、監督は「8人の女たち」のフランス人監督、フランソワ・オゾン。「8人の女たち」面白かったので見たいと思ってたんだ。
エドワード朝の小さな田舎町で食料品店を営む母親とふたり暮らしのエンジェルという16歳の女の子が主人公。
このコが自分の生きるロウアーミドルクラスの生活とはまったくかけはなれた上流階級を舞台に想像でロマンス小説を書くのが生きるすべて、みたいな女の子なんですが、彼女の小説が出版され若くしてベストセラーになるところから彼女の理想の人生がスタート。富も名声も、子供の頃憧れた大きな家も、恋人もすべて手に入れ順風満帆。けど。
小説の売れ行きが落ちはじめると同時に彼女自身の人生も比例するようにダウンスパイラルになってゆく。
というストーリーなんですが。
イギリスが舞台でイギリス人俳優を使ってるけどイギリス映画とは全然違うんだなーという印象でした。
あくまで主人公エンジェルの人生(無類の想像力と文才と自信はあるけど、若くて無知で脆い)に焦点をあててるからだとは思うんだけど、主人公と周囲の人々との階級の差がほとんど問題にならずに進行してゆくんだよね。そこが見ていて微妙に違和感があったなあ。この監督の解釈なのかもしれないけど。
イギリス映画で時代劇だとクラスの違いを置いといて話が進むってことはまずないし、身分のピンキリはあってもしょせん同じ階級内での話、というか。階級を超えての人間関係ってあんまり描かれないという印象があるからかなあ。
個人的には「8人の女たち」もそうだったけど、衣装と独特の色彩がとにかくおもしろかった。
これもイギリス映画の色彩じゃないなーとも思ったけど、コントラストがはっきりしていて美しいです。
周囲の流行が移り変わってるのに、主人公のドレスだけが色も生地もデザインもどんどんゴージャスになってゆくにも関わらずシルエットや色が古いままで浮いてるところが、彼女の存在を象徴してるようでおもしろかったな。

*1:名古屋のミニシアター「名古屋シネマテーク」「シネマスコーレ」「名演小劇場」の3館で使用できる3カ月有効の共通回数券。3枚で3990円。