髪結い伊三次捕物余話

先週はじめて宇江佐真理さんの本*1を読んでから今日までほぼ1週間、一気に9冊読んで起きてる時間はほぼ仕事か読書の日々。
頭の中はずっと江戸時代の深川あたりでした。
「髪結い伊三次捕物余話」は髪結いだけど同心の下働きと2足のわらじを履く伊三次と恋人の深川芸者のお文を中心に進んでゆくシリーズもの。
今のところあたしが読んだのは「幻の声」「紫紺のつばめ」「さらば深川」「さんだらぼっち」「黒く塗れ」
シリーズものとはいうものの毎回主人公の異なる短編での連作。1冊に大体5-6編の短編が収録されてます。
主人公が同心の小者なので、毎回江戸で起こる揉め事や殺人事件や心中事件などが話の中心なんだけど、登場人物がみんなステレオタイプにはっきりと分けられてないのがおもしろいと思ったな。
いい人なんだけどここは性格悪いよな、とか、すごく皮肉っぽくて感じ悪い人なんだけど「・・・いいやつじゃん。」と思うエピソードがあったり、勝ち気で気が強くて男勝りで憎たらしい女のコだけど妙にもろくてカワイイとこがあったり、おとなしくて武士の妻の鑑のような人でもすごく激しい気性だったり、同じ人が感情的になる場面もあれば、意外と冷静で冷たいとこもある。すごく親身でいいコだと思えば、毒も吐く。
実際ひとりの人間の中にはいろんな顔があるわけでそれが普通なんだけど、小説の登場人物ってわりにひとりの人が同じトーンで終始描かれるものも多いので、武士や商人や町人、武士の妻や芸者や女中だからとひとくくりには描かないところが好きだなと思った。
ただ。読んでいてちょっと困ったのは、江戸の地図が曖昧にしか自分の頭の中にないので「え?茅場町から深川に行くのに船って、どこから乗ってどこで降りるの?」「浜町と日本橋って近いんだっけ??」「八丁堀から門前仲町に歩いて行ける、よなー?」と、もう位置関係が謎だらけ(笑)*2
前に落語を見たときも思ったけど、江戸言葉も自分のバックグラウンドになじみがないから時々「???」って感じだし。
この「髪結い伊三次捕物余話」はまだ続くそうなので、これからも続きが楽しみ。

黒く塗れ―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

黒く塗れ―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

*1:「卵のふわふわ」

*2:途中ネットで江戸の地図を探したりもしました。