まんがキッチン

小さい頃から本を読んでいて、食べものが出てくるところだけやたら繰り返し読むこどもでした。
童話も小説も、もちろんまんがも、です。それは大人になった今でも全然変わらない。
ストーリーの中に出てくる食べものは、それが話の中で重要な位置を占めるものであっても、話には直接関係なくても登場人物のキャラクターに合ってるというだけでも、ものすごく興味をひかれるもの。
読んでるとどうしようもなくそれが食べたくなったり、飲みたくなったり。
村上春樹を読んでると、やたらビールを飲みたくなったりね。)
この「まんがキッチン」はまんが好きでも知られる料理研究家福田里香さんのまんがの中の食べものをとってもオタクっぽく(笑)語りつつ、それぞれのまんがをイメージしたお菓子のレシピ本。
まんが好き、そして食いしんぼうとしてはもうたまらなくツボにはまる1冊。
会社帰りに本屋で買って最初はそのまま映画に行こうと思ってたんだけど、映画がはじまるまでに少し時間があったのでカフェに入って読みはじめたらやめられなくなってしまい、とうとう映画に行きそこねた本でもあります。
もう読みながらやたらにやにやしちゃった。きっとカフェの中で「謎の客」だっただろうな・・・。
自分もこの本の中で語られているまんがをほぼ全部読んでいるので、福田里香さんの思い入れもよーくわかるし、自分の思い入れとかぶる部分、そうでない部分をあらためて発見したり。
個人的には「食べる」って「生きる」と同義語の記号だと思うから、どんな台詞や心理描写より食べものが出てくると小説やまんがの中の登場人物に「体温」を感じるんだよなあ、多分。
この本を読んでいて思ったのは「ほんとにまんがが好きなんだなあ・・・」ってこと。
ほんとに好きな人が書いた文章って読んでいてわかるものだし、その「好きだ」って気持ちを受け取れる本を読めるってとても嬉しいことです。
個人的にまんがの中の食べもので印象的なものは、ハチクロに出てくるはぐちゃんとあゆの創作料理の数々*1大島弓子*2「バナナブレッドのプディング」、よしながふみはもちろんケーキ(「西洋骨董洋菓子店」ですね)、西村しのぶも随所に食べものがやたら出てくるけど、「RUSH」のオリゴ糖入りスコーン(別名「百合のおなかシアワセスコーン」)や土鍋炊きの菜の花と蛤ごはん、「一緒に遭難したいひと」の北京ダックに飲茶に中国茶萩尾望都の「ケーキケーキケーキ」なんて人ごとと思えないし、ああもうきりがないや。
萩尾望都の「トーマの心臓」や(萩尾望都とは対談もあり)三原順の「はみだしっ子」などかなり昔のまんがも入っているんだけど、久しぶりに読みたくなっちゃったなー。
今思うと、よくあんな大人っぽい難解なまんがが少女まんが雑誌に連載されてたなあ。
はみだしっ子」なんて今読んでも裁判シーンなんて、めちゃくちゃむずかしいもの。
今週末は雨なので、家でまんがを読もうっと。

まんがキッチン

まんがキッチン

*1:さすがに作って食べてみようとは思わないけれど。かなり「破壊力」をもった料理なので。

*2:この本の中では「いちご物語」が取り上げられているけど。大島弓子の主人公はかなり食べものにobsessiveな女のコが多い