ルセットは楽譜

HIDEMI SUGINO

NHKのニュースをつけてたら、はじまっていたドキュメンタリー。
「あれ、これってはるみちゃんが送ってくれた雑誌記事の人だ・・・」
ケーキ職人、杉野英実さんのドキュメンタリーでした。
彼のケーキを食べたことはないんですが、ぜひ食べてみたいと思ったなあ。
お店は京橋の裏通りにあるんだね。
彼はフランスのペルティエで修行したそうですが、ペルティエのケーキは素晴らしくおいしいのに、いざ店に入ってみたら材料は普通のもの、レシピもルノートル製菓学校の教科書に載ってるルセット(レシピ)とまったく同じ。
でも、味は全然違うことに驚いたんだそうです。
「ルセットというのは楽譜のようなものですね」
同じモーツァルトの楽譜を演奏しても、弾く人が違えば全然違うものになってしまうのと同じだよね。
ペルティエでは特別の材料を使っているわけではないけど、少しでもいたんだ果物は使わない、無駄なくきちんと材料を使い切る、あたり前のことがあたり前になされていたんだ、って。そしてそういうあたり前が積み重なると特別になる、って。確かにね。
「アンブロワジー」というチョコレートのケーキ、おいしそうだったなあ。
ピスターシュのムースとピスターシュのスポンジ、木いちごのジャム、それをチョコレートのムースでくるんであって、表面に真っ黒の漆塗りみたいにぴかぴかしたチョコレートがかかってるもの。
チョコレートとラズベリーはもっとも好きな組み合わせ。それにピスタチオのムースとスポンジが合わさったら絶対おいしいよなあ。(それもスポンジは見た感じ、しっとりした感じじゃなくて、すこし気泡が粗めなざっくりした軽い感じのもの)
表面のチョコレートは、ココアを煮詰めたものにゼラチンを混ぜちょうどよい濃度までさましてからムースの上にかけたもの。ゼラチンねえ・・・おもしろーい。
クリスマスケーキもシックでした。黒胡椒をアクセントにした洋梨のゼリーとムース、表面にルバーブをシロップで煮たジャム、赤ワインで煮た洋梨ラム酒で煮た栗を飾ってあるだけ。
ルバーブはとってもすっぱい西洋ダイオウという蕗の一種ですが、砂糖で煮ると甘酸っぱくてフルーツみたいな味。
茎のグリーンの部分を煮ると濃いベージュ色、赤い部分を煮るとくすんだシックなピンク色になります。
タルトに焼くことが多いんだけど、洋梨と栗に合わせちゃうのかあ。
洋梨と黒胡椒もきっと合うよね。洋梨はそれ自体はデリケートな味だけど、赤ワインやスパイスなど重めのものとすごく合うから。
来月東京に行ったら、是非行ってみようっと。