白いプラスティックのフォーク

サブタイトルに「食は自分を作ったか」と書いてあります。
片岡義男の新刊は本屋で見かければ、まず手に取ってぱらぱらと読みはするけどそのままレジに持ってゆくことになります。
「食」にまつわる彼自身のヒストリーの中からピックアップされたエピソードなのですが、彼が書くものなので「おいしいもの」という話ではなく、結局のところ食にまつわる「比較」「違和感」「バックグラウンド(これは彼自身の。または食品の。)」「文化を体現するもの」の話。
その中でも自分とかぶっているのが「レーション」で興味深かったです。
レーションというのは意味は「食糧」なんだけど、アメリカ軍隊の携行野戦食とこの本の中では訳してあります。
こどもの頃、父親が米軍基地関連の仕事をしていたので、時々家にこのレーションを持って帰ってくることがあったのです。こどもの頃はそれがレーションなのだとは知らずにいたけど、今回この本を読んで「あ、あれがレーションだったのか」と思い当たりました。
こどもの目にはそれはたいそうエキゾティックなもので、今思えばいっとう最初のアメリカンフードだったかもしれません。
四角い紙箱の中にきっちりおさめられた、缶詰のランチョンミートやクラッカー、紙パッケージのインスタントコーヒー、砂糖やクリーマー、プラスティックのカトラリー、確かワックスペーパーに包まれたダークフルーツケーキもあったはず。
缶詰はシンプルな模様も何もないパッケージだったと記憶しています。
味も素っ気もないパッケージなんだけど、アルファベットしか書かれていないパッケージのすべてがこの上なく実用的なのにきれいで、中身を食べてしまってもパッケージはずっと取って置いたなあ。
今日の写真はこの本の中に、森永のミルクキャラメルのパッケージはサイズとして完璧、と書いてあるのを読んでいるうちに食べたくなって買ってきたもの。
キャラメルなんて、10年ぶりくらいに買ったかも。抹茶味なんてあるんだね。
他にも「なつかしい食べ物」としては、Aunt Jemimaのパンケーキミックスとか、Best Foodsのマヨネーズ、Campbellのトマトスープとか食べたくなって困りました(笑)

白いプラスティックのフォーク―食は自分を作ったか

白いプラスティックのフォーク―食は自分を作ったか